8月のバレンタイン

6
28

「これあげる」
勇気を出して、彼に渡した。
チョコ。
半年前に渡せなかったチョコ。
でもね、作り直したんだよ。
買ったのじゃないよ。

「ん、サンキュ」
彼は受け取ってくれた。
だって、普通の日だもんね。
でも特別な。
でも普通な。
でも特別な。

「おいしくないかもだけど」
保険。
ジョートーク。
どんな字書くかわかんないけど。
上等?
だけど、ちょっと怖い。

「え、マジで? 手作り? すごいじゃん」
褒めてくれた。
嬉しい嬉しい嬉しい。
作ってよかった。
がんばってよかった。
勇気を出してよかった。

「あ、溶けてる。でもウマそーじゃん」
彼は笑ってくれた。
半端なチョコに。
半端な私に。
あ。
そうか。

『メルト溶けてしまいそう』
叔父さんがよく聴いていた曲の歌詞。
無機質な歌声で、よくわからなかった曲。
今は気持ちがわかる。
彼の笑顔に、もう溶けているの。
チョコも、私の心も。
恋愛
公開:18/08/27 22:16

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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