おやすみ

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伯母が他界した。
血まみれなのに、なぜか死に顔は安らかだった。

伯母の家は、買い手がつくまでの間、私が住み込んで管理することになった。
「なんだ、こりゃ」
家に入った私は唖然とした。
家中いたる所に枕、枕、枕……
これが鏡や人形なら不気味だろうが、枕だと怖くもなんともない。

生活に必要なものは揃っていたが、薪がなかったので、一日目は薪割りで暮れた。

こんなこと初めてだ――枕が合わずに眠れない。
寝心地の良さそうな枕が目に入ったので取り替えてみたが……寝つけない。
そんなことを何度も繰り返す。
これだけあれば、もっといい枕があるはずだ。
そう思いながら。

あれから数日、まだ自分に合う枕はない……
昨日から何も食べていなかったので、食事の支度をしようと思ったが、薪が底をついていた。
仕方がない……私は斧を手に取り……ふらつく足で外に出た……

…………

――やっと、ゆっくり休める。
その他
公開:18/08/25 21:26
更新:18/09/15 03:10
北オーストリアの農家

けんじゅう

せっかくいろいろなジャンルを用意していただいているので、
一つのテーマ(タイムカプセル)で全ジャンル書いてみようかなぁ、
なんて思う今日この頃。

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