恋するガラパゴス

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「嫉妬です。男はみんな勝手」
女性店員は冷たく言った。

これは携帯電話の話だ。
念願のスマホに替えたら、データ移行前にガラケーの電源が入らなくなった。ショップで見てもらうと原因は嫉妬だった。

「遊ぶために乗り換えたんでしょ?」
ゲームを。
「ベッドに誘ったのは?」
目覚ましとしても使ってるので。
「機嫌を直すしかないですね」
やっぱり店員は冷たく言った。

それから僕は彼女(?)を褒めた。白いボディが美しいとか、折り畳む時の声がセクシーだとか、人間にも言った事のない言葉を投げかけ、キラキラしたストラップをプレゼントもした。その甲斐あって電源は無事についた。
すると今度はスマホが嫉妬をし始めた。
もうダメだ。僕はガラケーをリサイクルショップに売った。せめて誰かに使って欲しいと思ったから。

こうして日常が戻った。
ただ一つ、白いガラケーを使う男を見るとモヤモヤするようになった事を除いて。
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公開:18/08/25 19:23
更新:18/08/25 21:48

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