想いあそび

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ふたりは、分かり合えると信じて【想いあそび】を始めた。
毎朝、相手が今着たい色柄の服・食べたいもの・過ごしたい場所を言い合って、その通りに暮らした。
はじめのうちは、ふたり全く別々で明らかに似合わぬ生活をしていたが、いつしか【相手の生活】は、互いに近づき、まるで自ら好んだような暮らしになっていった。
しかし、自分にうつるものを愛で続ける程、徐々に自分が分からなくなっていった。

ふたりは合わせたわけもなく、「家を空色にしたい。」と言った。
ふたりの選んだ「空」は、全く同じ色を示していた。
それを好んだのが本当に自分なのか、相手を想った答えなのかわからぬまま。
共に住む一軒の家を塗り終えたふたりは、泣きながら「終わりにしよう。」と言った。

【想いあそび】をする前に、ふたりで植えた庭の草木たちが、彼らをそれぞれに寄り戻すでも、一つに重ねるでもなく、のびのびと生い茂っている。
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公開:18/08/25 18:43
更新:18/08/26 00:08

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お時間いただき、ありがとうございます。

よろしくお願い申し上げます。

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