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「サボテンは棘があるから怖いけど、苔は癒されるわ。まるで彼みたい」
そう言って、京子は仕事もせずに机の上の苔を見つめていた。
そんな京子が彼氏を紹介したいと言うので、私は彼女の家まで着いてきた。部屋には明かりが点いておらず足元すら見えない。梅雨の時期でもないのに湿度も高かった。
「もう日も落ちているし、明かりつけるよ?」
明るくなった部屋は緑色で覆われており、部屋の真ん中には彼女が座っていた。人工芝かと思い足を踏み入れると、柔らかい感触が足の裏をくすぐった。驚いて足をあげると、それは苔だった。床、壁、天井、何から何まで苔で覆われていたのだ。
「どう? 癒されるでしょう?」
「おかしいよ。彼氏がこれ見たら驚くよ?」
「大丈夫、彼ならここにいるから」
正座する彼女の膝の前に、人の形をした苔の塊があった。
「夏実ちゃんも一緒に、ここで暮らそうね」
そして、私も苔になった。
そう言って、京子は仕事もせずに机の上の苔を見つめていた。
そんな京子が彼氏を紹介したいと言うので、私は彼女の家まで着いてきた。部屋には明かりが点いておらず足元すら見えない。梅雨の時期でもないのに湿度も高かった。
「もう日も落ちているし、明かりつけるよ?」
明るくなった部屋は緑色で覆われており、部屋の真ん中には彼女が座っていた。人工芝かと思い足を踏み入れると、柔らかい感触が足の裏をくすぐった。驚いて足をあげると、それは苔だった。床、壁、天井、何から何まで苔で覆われていたのだ。
「どう? 癒されるでしょう?」
「おかしいよ。彼氏がこれ見たら驚くよ?」
「大丈夫、彼ならここにいるから」
正座する彼女の膝の前に、人の形をした苔の塊があった。
「夏実ちゃんも一緒に、ここで暮らそうね」
そして、私も苔になった。
ホラー
公開:18/08/26 17:16
緑
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