妻に逃げられた夫の朝とちりめんじゃこ

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 目覚めると晴天だ。
 ―こんな朝だからこそ、しっかりしなければ。
 と布団を跳ね除けた。足元でニャッ!という音が立つ。だが、家には猫はいない。
 妻に逃げられた男は、カレンダーから、今日が不燃ゴミの日だと知り、分別一覧をじっくりと検討した。ゴミ箱には、ちりめんじゃこのパックと、鰹節、みりん干しなどのトレイが大量に詰め込まれており、空缶入れには、猫の餌缶が山になっていて相当に臭った。
 ニヤと白いものが足元をすり抜ける。くどいようだが、家に猫はいない。
 冷蔵庫の中には、夥しい量のちりめんじゃこのパック。That's all.
 昨夜冷蔵庫からビールを出して飲んだはずだが、ビールも、空き缶もない。

 ―これは妻の失踪と何か関連が?!

 男は、俄然やる気になって、ちりめんじゃこのパックをひきむしるように開け、ざらざらと口に流しこんだ。
ファンタジー
公開:18/08/26 14:50
更新:18/08/26 20:58

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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