畑でとれたもの

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旅の商人の男が村外れの老婆の家に泊めて貰うことになった。老婆の畑の野菜を鱈腹食べ、村を出たことがないと言う老婆に海辺の町で仕入れた装飾品を見せびらかした後、「婆さん一人では生活も大変だろう。」と男は憐れんだ。老婆は微笑んで言った。
「平気さ。うちの畑は、宝物が採れるからね。」
それを聞いた男は夜中、荷物をまとめ老婆の畑に忍び込んだ。宝物とやらを持ち逃げしてやろうと畝を掘り出して間もなく、指先に硬いものがあたった。大喜びで掘り返すと、現れたのはどう見ても人間の骨。その瞬間、畑の芋蔓がしゅるりと伸び、男の足や首を締め上げた。男は倒れ、暗闇の中、ずるともじゅるともつかない音が暫く続いていた。
翌朝、別の商人が老婆の家の前を通りかかった。老婆は商人を呼び止め、真珠や珊瑚の装飾品を見せて買取りを願い出た。「良い品ですね。これを一体どこで?」商人が聞くと、老婆は微笑んで言った。
「畑で獲れたのさ。」
ホラー
公開:18/08/25 23:59
更新:18/08/29 23:31
クリムト 名作絵画SSコンテスト 北オーストリアの農家

詩のぶ

小説、詩、短歌、俳句、コピーなど、読んだり書いたりするのが好きです。ショートショートはこれまであまり馴染みがなかったので、ここで色々試しながら勉強できたらと思っています。
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