書き散らし

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夏の終わりか、夢の途中か。
サンレーザーが降り注ぐグレーの渡しから逃れ、サンバイザーの要らぬ屋根の下に滑り入る。
三分の力で、酷暑爆発を紛らわすことはできるだろうか。
人の往来に、オーライオーライやっていた若かりし頃、出会った人を思い出す。
麦わらに隠れた切れ長の目は、あるがままだったのか、作られたものだったのか。分からず終いだったなあ。
あの時、あの人は私を見ていなかった。先の私を見ていた。今の私。何者でもない私。見透かされていた私。
昔の私は何も持っていなかった。輝きだけを持っていた。
今の私は何でも持っている。輝きだけはどこかへ置いてきてしまった。
あの人に会いたい。でも会えない。今の私では、天秤が傾くだけだ。
本物の重さを持った分銅になりたい。あの人に釣り合うように。
零分。
緑のたぬきが私を待っている。
熱さは暑さを冷ますことはできないが、私の冷えた心を覚ますことはできたのかな。
ミステリー・推理
公開:18/08/23 02:50

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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