トーキョー
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夏休み最後の日。今日も大好きな同級生の女の子、キョロと一緒に、いつもの神社で遊んでいた。僕はヒョロ。小学4年生。
突風が吹いた。キョロの短いスカートが、胸元までめくれ上がった。
「ヒョロ。私のパンツ、見たでしょ?」
「み、見てないよ」
僕は、少し、どもってしまった。
「ウソ。顔が真っ赤だよ、ヒョロ」
「‥‥」
「でもいいや、ヒョロなら。一回くらい」
僕は、返答のしようがなく、困っていると、キョロが、珍しく真顔で言った。
「ねえ、ヒョロ。2学期が終わったら、私、東京に転校するんだ。まだ誰にも言ってないけど。先生だって知らないよ」
「‥‥」
「じゃあね、ヒョロ。私帰る。明日また学校で」
そう言って、キョロは帰った。
どこかで、ヒグラシが鳴き出した。夏の終わりを告げているようで、とても悲しい声だ。その方向を見て、僕はつぶやいた。
「トーキョー」
近いはずなのに、僕には外国のように、遠くに感じた。
突風が吹いた。キョロの短いスカートが、胸元までめくれ上がった。
「ヒョロ。私のパンツ、見たでしょ?」
「み、見てないよ」
僕は、少し、どもってしまった。
「ウソ。顔が真っ赤だよ、ヒョロ」
「‥‥」
「でもいいや、ヒョロなら。一回くらい」
僕は、返答のしようがなく、困っていると、キョロが、珍しく真顔で言った。
「ねえ、ヒョロ。2学期が終わったら、私、東京に転校するんだ。まだ誰にも言ってないけど。先生だって知らないよ」
「‥‥」
「じゃあね、ヒョロ。私帰る。明日また学校で」
そう言って、キョロは帰った。
どこかで、ヒグラシが鳴き出した。夏の終わりを告げているようで、とても悲しい声だ。その方向を見て、僕はつぶやいた。
「トーキョー」
近いはずなのに、僕には外国のように、遠くに感じた。
青春
公開:18/08/23 01:44
更新:18/08/26 00:51
更新:18/08/26 00:51
千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。
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