蜩とバッハと  

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蜩がいい

晩夏 夕暮れどき

黄色い小花たちは、未だかすかに甘酸っぱい匂いを放つ

ふりそそぐ蜩の声・・・

その声を浴びながら
老犬と散歩からもどる

ベンチに腰をかけ
夕陽を楽しむ

ほのかな風に、季節のかわりを予感する

蜩の声・・・

朽ちかけた木の扉を押す

慣れ親しんだ家のにおい

蜩の声に重なる「G線上のアリア」

慣れ親しんだカップに紅茶を淹れる

ありふれた アールグレイ 
ミルクを少し

繰り返す「G線上のアリア」

壁には あの絵
「接吻」でもなく「アテナ」でもない
あの絵

愛犬が足元でねむりにつく

編みかけのレース
夏のストール  

ころがる糸玉・・・

頭の中をめぐる「G線上のアリア」
その他
公開:18/08/24 17:36

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