潮騒の悪魔

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この浜では水死体が流れ着く。決まって体を食いちぎられて。
「この先の海には悪魔がいる。絶対行くなよ」
おじいちゃんに言われていたけど、僕はどうしても兄の仇を討ちたかった。僕は夜にボートに乗り、静かな海の先へと漕いだ。手がかりがあればそれでよかった。どんな化け物かわかれば、みんなで倒せる。僕はやり遂げなきゃいけなかった。
ボートを進めて行くと、人の声がした。
「危ないよ坊や、ここで何してる?」
大人だ。漁師の格好をしている。
「僕、化け物を探しに来た」
「一人じゃ危険だ。今夜はこのまま何も見ずに戻りなさい」
窘められ、渋々引き返すことにした。
「あなたはどうしてここに?」
彼の船には二枚貝が積まれていた。そしてもう一人が捌いていて、綺麗な球を取り出していた。

この浜には水死体が流れ着く。決まって体を食いちぎられて。
「悪魔がいるって言っただろ」
残骸を抱きしめて、老人は一人浜辺で泣いた。
ミステリー・推理
公開:18/08/24 00:00
更新:18/09/04 19:25
悪魔は心の中にいる。 ある意味、意味怖

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
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