白い蚊取線香

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それは嵐の夜でした。大きな雷がズドンと落ちると、子どもは飛び起き、ワクワクしながら庭に行きました。雷は遠くでチリリと落ちもしましたし、雲をピカリと光らせました。その後必ず咆哮を挙げます。綺麗だなと見ていると、足元に小さな光が走りました。見ると、小さな雷の雛でした。白い光をくねらせながら空を仰いで、飛ぶことも音を立てることもできないようです。子どもは内緒でその雷を飼うことにしました。ヒョロッとしてるので「ヒョロ」と呼びました。ヒョロは蛇のように体をくねらせ、パチリと音を立てて光り、眠る時はとぐろを巻いて固まりました。
しばらく経ったある晩、お母さんが寝ているヒョロをみつけました。
「あら、珍しい」
お母さんは早速火をつけました。子どもは驚きましたが、ヒョロは黙って焚かれたまま。
「いい香り」
煙は空に伸びて行きます。その時、空が光りました。続いて小さな咆哮。ヒョロは無事に空に帰れたのでした。
ファンタジー
公開:18/08/22 07:59
更新:18/08/22 10:07
スクー 白い蚊取線香 落雷時は家から出ない のりてるさんの作品から着想

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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