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隣の部屋のアラーム音で目覚める。まだ5時50分だ。
いつものことだけれど、夫は早くに起きてデスクワークを始める。本人曰く「早朝の1時間は夜の2時間に匹敵する」らしい。立派だ。でも私にはわからない。できることならずっと寝ていたいと思う。
うとうとした。次に気づいたのは、夫がごそごそ準備して出かけていく7時30分だった。ばたん。私の幸福が遠くなる音。
別々の部屋で眠るようになったきっかけは、夫からの申請だった。
「朝早くから起こしてしまうのが申し訳ないから」
夫はどこまでも優しい。はっきり言ってくれていいのに、ちゃんと私のためを思っていると伝える風に理由を示してくれる。
夫は新しくシングルベッドを買った。私たちの記憶がひとつもないもの。
ダブルに一人、夫の音で目が覚める私を、せめて笑ってほしかった。ばかだなぁ、とか言いながら。寂しいで壊れる前に、夫に苛立ちたかった。
いつものことだけれど、夫は早くに起きてデスクワークを始める。本人曰く「早朝の1時間は夜の2時間に匹敵する」らしい。立派だ。でも私にはわからない。できることならずっと寝ていたいと思う。
うとうとした。次に気づいたのは、夫がごそごそ準備して出かけていく7時30分だった。ばたん。私の幸福が遠くなる音。
別々の部屋で眠るようになったきっかけは、夫からの申請だった。
「朝早くから起こしてしまうのが申し訳ないから」
夫はどこまでも優しい。はっきり言ってくれていいのに、ちゃんと私のためを思っていると伝える風に理由を示してくれる。
夫は新しくシングルベッドを買った。私たちの記憶がひとつもないもの。
ダブルに一人、夫の音で目が覚める私を、せめて笑ってほしかった。ばかだなぁ、とか言いながら。寂しいで壊れる前に、夫に苛立ちたかった。
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公開:18/08/20 08:22
更新:18/08/20 08:24
更新:18/08/20 08:24
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一話完結
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