醜い蚊取り線香の子

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ある日、蚊取り線香のお母さんが目覚めると、緑色をした子供達の中に1つだけ白い子供が混じっている事に気がつきました。しかもその子だけ、他のみんなと形が少し違っていました。
「あらあら、こんな子、うちにいたかしら…」
白い子供はみんなにいじめられました。
「お前の渦巻き変なんだよ!」
「白って気持ち悪い!」
「除虫菊の香り出してみろ!」
お母さんは白い子供をかばっていましたが、やがて「あんたみたいな子はさっさと燃やされちまえばいいのに…」と、溜め息をつくようになりました。
そんなある日、蚊取り線香の家の屋根がパカッと開き、男の子の声がしました。
「あ、僕の靴ひも、こんな所にあった!」
そうです。白い子供は靴ひもだったのです。
靴ひもは男の子の靴に結ばれて、長く愛用されました。

その男の子、香取君が成長し、後に陸上界の期待の星「白い閃光・香取」と呼ばれることになるのですが、それはまた別のお話。
ファンタジー
公開:18/08/21 10:53
スクー 白い蚊取り線香

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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