味噌シールド

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牛丼屋。店員は、マッチョなおじさん。
「へいお待ち。」
お盆に乗った牛丼、味噌汁、サラダ。まず味噌汁を飲む。最初に味噌汁を飲むのが私のルールだ。
ズルズル
入ってこない。もう一度。
ズルズル
入ってこない。味噌汁が味噌シールドを張っているのだろうか。
「すみません。味噌汁が味噌シールドを張っているようです。どうすれば飲めますか?」
「味噌汁の気持ちになって考えるのだ。」
マッチョ店員が言った。味噌汁の気持ちか。うむ。味噌汁は脇役だ。牛丼のおまけのよう。いつも盆の隅っこに追いやられている。もしや。この扱いにショックを受け、心の壁を作っているのかもしれない。ということは味噌汁を主人公にすれば良い。
ふんじゃら!ふんじゃら!
掛け声とともに牛丼とサラダを床に叩きつけた。マッチョ店員を見るとこっちに親指を立てている。どうやら正解だったようだ。味噌汁を飲んだ。
ごくごく
ちゃんと飲めた。美味。

 
ファンタジー
公開:18/08/21 09:32

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