ひっくり返しちゃだめだよ。

友人Jは言っていた。

「いつか君に言ったことがあると思うんだけれど、私は夢を見たことが無いんだ。よーく眠ってしまって、夢なんて見る隙がないのかもしれない。思い出したいあのひとのことだったり、またもう一度過ごしたいあの晩のことだったり、夢でもいいからもう一度、なんてお願いは、私には叶いっこないんだよ。」

J、僕は君に教えてあげることにしよう。君が現実だと思っているその世界こそが夢かもしれない。君が夢など見れないほど寝ているというその瞬間だけが現実なのかもしれないよ。
夢と現実をひっくり返してしまってはいけないよ。夢を現実だと思い込むということは、僕には君が君をかばっているだけのようで、それはなんだか、卑怯じゃないかな。

そんなこと根拠がないじゃないかって？

それはほら、実際、君と僕がこうして会っているのは、君の夢の中だっていうことだけで十分じゃないかな。J、君は弱い人だ。