最後の光

絵画・北オーストリアの農家。この作品を最後にクリムトは光ある作品を描かなくなった。
彼はこれまで好きなものを好きなように描いてきた。
しかし世間が彼の絵に注目し始めると次第に彼は好きなものが描けなくなった。
評価を得る作品と言えば、誰かに描かされた絵。
こんな作品を描いてみれば？貴方にはこっちの作風が合っている。
そうした自分で描いた絵でなく、描かされた絵こそが評価を得る。
彼が自分の意志で描いた作品は世間から駄作と評価された。
それ以来、彼は画家として他人の為に絵を描くことにした。そこに光はない。
彼が絵を描くことを楽しんでいないからだ。
そんな彼が最後に自身の意志で描いた作品が北オーストリアの農家と言われている。
農業を営み、趣味として絵を描く。
森の中、花に囲まれた一軒家で小さな幸せを夢見ていた。
彼は絵の中に希望と光を書き込んだ。
だからこそ、この絵を見ていると切なくなるんだよ…