頼もしいアニキ

我が校には頼もしいアニキがいる。
男気に溢れ、困っている仲間を放っておけない。
そのくせ一匹狼で自分は決して群れようとしない。
そんな姿が男女問わず全生徒の憧れだ。

ある日、学校にアニキのことが気に入らないと不良が乗り込んできた。
アニキは学校に迷惑をかけたくないと言い、不良についていった。
僕はアニキが心配でこっそり後をつけた。
人気のない廃工場でアニキは武器を持った大勢の不良に囲まれていた。
いざとなったら僕がアニキのために一肌脱ぐんだ！
そう覚悟を決めた時、アニキの背中がメリメリと裂け、中から大きな狼が現れた！
狼は怯える不良を全員丸呑みし、満足そうに腹をさすった。
そして、着ぐるみを着るかのようにアニキの皮を被り、何事もなかったかのように廃工場を出て行く。

廃工場を出るとき、アニキと目が合った気がする。
その目は「俺が人肌脱いだこと、誰にも言うなよ」と脅しているようでもあった。