星がこぼれる

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夜空一面の星。
周りに遮るものがない空は、一層濃度を増す。
ちいさな林道を抜けた先にあったのは、月明かりに照らされた海の端っこだった。

空と海とが互いに光を反射しあって、辺りは不思議な色に染まっている。

空から星がこぼれそうだな、と思う。

ぽちゃん

海面に何か落ちた。
音の方を見る。
緑色のまあるい光。
しばらく漂ってふ、と消える。

また落ちる。

黄色、赤色、オレンジに青。
色とりどりの球が落ちて光る。

拾ってみる。
熱くはない。

大きさは、ビー玉くらいのものからバレーボールくらいのものまである。
どうやら、空から星がこぼれ落ちて来ているようだ。
まさか本当にこぼれるとは。

手に持っていた星の欠片を、海面に落とす。

ぽちゃん

音が波の一つ一つと反響して、透き通ったリズムを刻む。

次々と海面に落ちる星が、いつしか音楽を奏でる。

ずっと明けない夜の中で、響き渡る。
ファンタジー
公開:18/08/19 17:40
更新:18/08/28 22:09

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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