さよなら扇風機
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風が涼しくなって、夏の終わりが見えてきた日曜日のこと。僕の部屋の扇風機の羽が、いきなりすごい勢いでブルンブルン回転し始めた。扇風機はヘリコプターみたいに浮き上がると、窓から外へと飛び出した。
「お父さん、大変だよ!扇風機が」
慌ててお父さんを呼びにいくと、お父さんは庭から空を眺めていた。僕も隣に行って空を見上げる。あちらこちらの家の窓から扇風機が飛び出し、空には、たくさんの扇風機が綺麗に列をなして飛んでいた。
「夏が終わって役目を終えたから、他の暑い国へ移動しているんだなぁ」
お父さんが言った。
扇風機が?僕はたくさんの扇風機が、海を渡っていくところを想像してドキドキした。
「もう帰ってこない?」
「来年の夏になればまた帰ってくるさ」
僕の扇風機がどこかの国で誰かを涼しくしてるかもしれない。それまでちょっとだけさよならだ。戻ってきたら、ピッカピカに拭いてあげよう。そう考えたらワクワクした。
「お父さん、大変だよ!扇風機が」
慌ててお父さんを呼びにいくと、お父さんは庭から空を眺めていた。僕も隣に行って空を見上げる。あちらこちらの家の窓から扇風機が飛び出し、空には、たくさんの扇風機が綺麗に列をなして飛んでいた。
「夏が終わって役目を終えたから、他の暑い国へ移動しているんだなぁ」
お父さんが言った。
扇風機が?僕はたくさんの扇風機が、海を渡っていくところを想像してドキドキした。
「もう帰ってこない?」
「来年の夏になればまた帰ってくるさ」
僕の扇風機がどこかの国で誰かを涼しくしてるかもしれない。それまでちょっとだけさよならだ。戻ってきたら、ピッカピカに拭いてあげよう。そう考えたらワクワクした。
その他
公開:18/08/19 15:26
更新:18/08/28 16:08
更新:18/08/28 16:08
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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