婆ちゃんの米

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台所の床下で見つけた大きな箱を開ける。中にあったのはお米だった。
(あれ? お米が動いてる?)
いつの間にか祖母が後ろに立っていて
「うちのお米は生きてるんよ」
見たことのないような顔で笑った。あれはいつの記憶だったか。

「血は争えないっていうか…」
夫が家を出ていったというと、母は電話の向こうで嘆いた。女がいることは随分前から気付いていた。結婚してからずっと、ううん、つきあってる頃から、夫は何人もの女と浮気してた。でも気付かないふりした。だって、追求しなければいつもすごく優しかったから。
「あんたのお祖父ちゃんもねぇ、昔女の人といなくなったんよ。お祖母ちゃんがかかわいそうでねぇ。あんたも旦那に逃げられるなんて…。男の趣味も遺伝するのかねぇ」
ため息をつく母の声が、遠くに聞こえる。

あぁそっか、婆ちゃん。

私は白い蛆の湧いた衣装ケースを見ながら、祖母の引き攣った笑顔を思い出していた。
その他
公開:18/08/19 21:57
更新:21/01/28 15:10

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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