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祖母からもらったプラダを気に入っている。A4サイズのクリアファイルが入る上に、どんな服にも合わせやすい黒のトートバッグ。ブランド志向ではないけれど、これに赤のリップを合わせて出かけるとき、私はついワクワクしてしまう。
ある夜の飲み会。私と知り合いのおじさんとその友達のおじさんたち3人という奇妙なメンツで中野の居酒屋に集った。ビールが苦手な私は、白ワインをちびちび飲む。
帰り道。前を歩く私を見てニヤニヤしながら、おじさんの友達の一人が言った。そのバッグ。
「パパに買ってもらったの?」
意味がわからなかった。3秒後、彼らが言うパパがそのままの意味を指さないことに気づく。
「祖母にもらいました」
事実のままに私は返す。声のトーンは真剣に、顔はできるだけヘラヘラしながら。ちぐはぐだ。
「ふぅん。ほんとかなぁ」
声は止まない。私は振り返らず駅へ向かう。もう二度と会わないことだけ決めて、サヨナラ。
ある夜の飲み会。私と知り合いのおじさんとその友達のおじさんたち3人という奇妙なメンツで中野の居酒屋に集った。ビールが苦手な私は、白ワインをちびちび飲む。
帰り道。前を歩く私を見てニヤニヤしながら、おじさんの友達の一人が言った。そのバッグ。
「パパに買ってもらったの?」
意味がわからなかった。3秒後、彼らが言うパパがそのままの意味を指さないことに気づく。
「祖母にもらいました」
事実のままに私は返す。声のトーンは真剣に、顔はできるだけヘラヘラしながら。ちぐはぐだ。
「ふぅん。ほんとかなぁ」
声は止まない。私は振り返らず駅へ向かう。もう二度と会わないことだけ決めて、サヨナラ。
その他
公開:18/08/19 20:44
更新:18/08/19 20:49
更新:18/08/19 20:49
小説
ショートショート
400字物語
一話完結
400字のことばを紡ぎます。
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