こしがあるひらがな

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こしがあるひらがな






ここに、5歳の女の子がいる。両親は、1945年3月10日の東京大空襲で既に死亡。女の子とそのお兄ちゃんだけが生き残った。
戦後の混乱期。物が何もない時代。11歳のお兄ちゃんが、兄妹2人生き抜く為に、闇市で日銭を稼いでいた。
女の子に残されたのは、お母さんの形見の「こけし」だけ。大切な大切な、女の子の宝物。肌身離さず持っている、大好きな「こけし」だが、女の子には一つだけ不満があった。それは、「こけし」に、女の人のような、腰がない事だった。腰があれば、もっと可愛いのに、といつも女の子は思っていた。
その日の夜、女の子の夢に「こけし」が出てきた。
「わぁ、『こけし』さん、ちょびっと腰がある、可愛い」
喋るはずのない、「こけし」が喋った。

こけし
少し
腰を
肥やし

こけし
すこし
こしを
こやし
その他
公開:18/08/19 19:53
更新:18/08/20 01:40

渡辺 隆一( 千葉県野田市 )

千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。

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