紫陽花キラキラ

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星のない夜、僕は宴会を開いていた親戚一同から離れ、縁側に座って夜風に当たっていた。
サラサラ、サラサラ、と音がする。笹の葉が揺れる静かな音、川の流れる穏やかな音が耳をくすぐる中、ガラスが溢れるような音がする。
(?)
僕はサンダルを履いて庭に出る。縁側に沿って灯から遠ざかると、キラキラと輝く花がある。紫陽花だ。赤や青や紫に染まる紫陽花硝子だ。光もないのに輝いて、風が吹くと火の粉のように光が舞い散る。紫陽花硝子からこぼれた花の粉が、夜空に向かって輝いていく。それがそこらかしこで起きていて、紫陽花硝子の欠片が夜空に吸い込まれていく。
(ああ、綺麗だな)
風が、笹と川と硝子の音を同じように運んでいく。わずかに雲が晴れていき、本物の夜空が顔を見せた。紫陽花硝子の星の欠片が混ざり合い、虫の声やら遠くの談笑の全てが穏やかだ。
風が吹くと紫陽花硝子が砕けて散る。
夏が、終わる。
そんな季節がやってきた。
ファンタジー
公開:18/08/19 19:20

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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