ギリシャ彫刻の記者会見

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美術館のホールには沢山のマスコミや観衆が押し寄せていた。ステージの中央にはダビデ像が置かれている。口元にはマイクがセットされ、像の土台に繋がれたケーブルは横に置かれた機械に伸びていた。その前で館長が興奮気味にマイクを握っていた。
「お集まりの皆さん、ギリシャの彫刻家ミケランジェロはこのダビデ像を彫った時、人体の造形だけでなく、その内面までも大理石に刻んだと伝えられています。では像に込められた魂は今、何を語るのか。ご覧ください。この装置により、皆さんは世界で最初にこの像の声を聞く証人になるのです」
観衆から盛大な拍手が起こった。それを満足気に眺めて館長が機械のスイッチを入れた。

ブウゥゥゥン…

装置が起動しダビデ像が微かに振動した。すると、像の瞳に命が宿り、スピーカーから声が響いた。

『俺、本気出したらもっとでっかいからなー!』

ざわざわざわ…

ざわざわ…

…何が?

…ナニが?
ファンタジー
公開:18/08/17 23:19
更新:18/08/18 06:44
スクー これはアウト!

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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