記憶がない結婚式

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気がつくと親友の彼氏の篤と誓いのキスをしていた。唇の感触にパニックになる私に篤は驚いていた。間違いなく結婚式だ。そして私だけがこの状況を理解していない…。
式を中断し、私と篤は別室に案内された。
…何も思い出せない。
入院した親友の葵を見舞いに行った所までは覚えていた。ベッドで眠る葵の手を握っていたら「貴方の体を頂戴」と葵の声が聞こえて…。次の瞬間には篤とキスしてた。
「葵、大丈夫?」
篤は私の事を葵と呼んだ。
もしかしたら…。記憶のない間、私の体は葵に奪われていたのではないか。そして葵が消えて私が戻った。耳の奥に微かに彼女の絶叫が残っていた。多分、彼女は何かに失敗したのだ。
私は無言で篤を見つめる。葵にはもったいない優良物件だ。このまま彼と結婚するのも悪くない。
まずはこの場をどうするか…。
「葵がね、篤をよろしくって…」
「…と、智香なのか?」
私は篤を丸め込むため必死に頭を働かせた。
ミステリー・推理
公開:18/08/18 23:00
更新:19/02/06 09:44

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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