名画の失踪
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もう長い間戻っていなかったので、皆に忘れ去られてしまっているだろうが、私はかつてこの絵画の小屋に住んでいた。目の前を通りかかった美しい女性に心奪われ、思わずついていってしまったために、もぬけの殻となってしまったのである。
彼女はいつも定位置にいた。遠くから眺めているだけで、声をかけることなどできやせず、それこそ絵に描いたような温かな家庭を、うらやむでもなく、ただただひっそりと心ゆくまで鑑賞した。壊してはならないものがある。すべてがそこに必要なものであるのだ。私にだってそれはわかっていた。
どれくらいのときが経ったのか、私はふとあの小屋がどうなっているのか気になって戻ってきた。
絵画は変わらずそこにあった。小さな窓を覗けば、人影があるように見えた。新しい住人であろうか。それとも気のせいなのか。
私はそこに必要なものであるのか。自問自答する日々が続く。
彼女はいつも定位置にいた。遠くから眺めているだけで、声をかけることなどできやせず、それこそ絵に描いたような温かな家庭を、うらやむでもなく、ただただひっそりと心ゆくまで鑑賞した。壊してはならないものがある。すべてがそこに必要なものであるのだ。私にだってそれはわかっていた。
どれくらいのときが経ったのか、私はふとあの小屋がどうなっているのか気になって戻ってきた。
絵画は変わらずそこにあった。小さな窓を覗けば、人影があるように見えた。新しい住人であろうか。それとも気のせいなのか。
私はそこに必要なものであるのか。自問自答する日々が続く。
ファンタジー
公開:18/08/18 20:41
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