ある夜のことについて

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赤い口紅の、あの男の子。顔に性器が張り付いたようなあの夜に、あの子を見た。私もまた、あの町の誰かから見たら、ただの性別だったのかもしれない夜。あの子はどこに走って消えたのか。あの子が走っていくところに、私も走っていけたらよかったのに。私の隣の友達は、楽しいと笑顔でいたあの夜。私は、私が私として生きることが面倒な理由が一つ明白になったというのに。
 あぁ、あの夜の痛みを、私はこんな風にして書き残すしかない悲しみを、私のすべての隣の人はわかってくれないだろう。私がまるで、あなたのことを理解できないのと同じように。
 摩擦の中に生きていて、私たちはいつも、相手を理解して生きているつもりになる。それがまた、私たちがこんな風に生きていられる理由なのかもしれない。もし、理解しているということが仮面だと知ってしまったら、こんな地球のこんな命として生きていることは、大変に辛いことに代わってしまうものね。
その他
公開:18/08/18 19:14
更新:18/08/18 22:53

sansan

憂鬱な人は気が合うかもしれません。私も基本憂鬱なので。ショートショートとかよく知りません。基本的に飲酒後に書いています、はは

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