幻想動物見聞録・雅子の場合

この間、ユリ根の下拵えをしていましたら、中から小さな女の子の妖精が出てきました。それがませた子でね。
「レディの服を剥がすのは野蛮です」だって。だから全部剥いでやりましたよ。最初は怒ってたんですけど泣き始めて「お嫁にいけない」とまで言いだして、子どものくせに笑っちゃうよ。仕方がないから服を用意してあげたさ。人形の服だけどね。職場で使ってた着せ替え人形のお洋服。なんか子どもたちのことを思い出して捨てられなかったからいいのさ。それがこの妖精、いたく気に入ったみたいで「褒美を取らそう」って。何様気取りなんだか。それからふらふら居着いてね。まあ別にいいんだけど。私は子供ができなくて旦那と別れたんだ。小人ぐらい邪魔じゃない。最近じゃあ宴会開いておしゃべりしてるけど、悪い気はしないさ。子どもの相手してるみたいなもんだし。少し多めにご飯だしてやるだけさ。あとゆりねのおが屑ベッド。つまんない話だろ、先生。