幸運の絵
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その部屋には一枚の絵が飾られている。愉快な絵ではない。むしろぱっと見は陰気だ。森の中にぽつんと佇む一軒の家。
しかし印象とは裏腹に愉快な噂が囁かれていた。曰く、絵のところで一晩眠ると、翌朝には自分の理想世界が実現されている。けれど確かめた者はいない。常時施錠されているし、そもそも倉庫で、寝るスペースなどないからだ。
ある時ひとりの若者が幸運に与った。その部屋で探し物をしているうちに疲れ、絵の近くでつい、うとうとと朝まで。
深夜、絵がぴかりと光る。
翌朝、若者は理想世界に住んでいた。けれど現実ではない。ただの絵であるはずのそれは、人類ではない者たちがつけた装置だった。若者は絵の向こう側で眠らされて楽しい夢を見続け、絵からは入れ替わりに彼とそっくりな何者かが現れて日常を送っている。
若者はいつ目覚めるのだろうか? 少なくとも彼を眠らせた誰かの好奇心が満たされるまで幸運を満喫するのは間違いない。
しかし印象とは裏腹に愉快な噂が囁かれていた。曰く、絵のところで一晩眠ると、翌朝には自分の理想世界が実現されている。けれど確かめた者はいない。常時施錠されているし、そもそも倉庫で、寝るスペースなどないからだ。
ある時ひとりの若者が幸運に与った。その部屋で探し物をしているうちに疲れ、絵の近くでつい、うとうとと朝まで。
深夜、絵がぴかりと光る。
翌朝、若者は理想世界に住んでいた。けれど現実ではない。ただの絵であるはずのそれは、人類ではない者たちがつけた装置だった。若者は絵の向こう側で眠らされて楽しい夢を見続け、絵からは入れ替わりに彼とそっくりな何者かが現れて日常を送っている。
若者はいつ目覚めるのだろうか? 少なくとも彼を眠らせた誰かの好奇心が満たされるまで幸運を満喫するのは間違いない。
SF
公開:18/08/16 06:16
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