その後の「ミンミン」

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壬生のサルさんのセミは、まだ「ミンミン」鳴いている。だが、その鳴き声は、極端に小さくなっている。寿命が迫っているのだ。鳴けるのも、明日までだろう。
話すのも辛そうなので、私が代弁しよう。私?ミンミンと仲がいい、別のセミだ。
そもそも、我々セミが鳴くのは、人間に聞かせる為ではない。メスと交尾して子孫を残さなければならぬ宿命の中、メスに自分の存在をアピールする、求愛の声なんだ。だから、懸命に鳴いているのさ。
幸いにも、壬生さんが書いてくれた翌日の「あさが来た」時、セミ仲間でも評判の美人ゼミ「羽流」と、交尾する事ができた。
ミンミンが言っていた。
ミンミン「でも、ぶっちゃけ、人間にも聞いて欲しいよな、ガチで。おまえはいいよ。いつもギャラリーがいて」
別のセミ「でも、年寄りだけだよ。それも男だけ」
ミンミン「そうなのか?」
別のセミ「だって、私らアブラゼミの鳴き声は『ジージー』≒『じい、じい』」
その他
公開:18/08/17 17:53

渡辺 隆一( 千葉県野田市 )

千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。

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