異界にて

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気がつくと、空中に浮いていた

ついさっき、薄暗いビルの階段を登り「転生社」を訪れたのを思い出した
ずっと孤独だった
友達もいなかった
そんな現実を逃れ、異界へ行こうと考えたのだ
ドアを開けるとそこは、外だった
背中を押された気がしたが、あれが旅の合図だったのだろう

確かにここは、異界だ
音を感じないのか、とても静かだ
なにしろ、ふわふわと浮いている

足元を見ると
俺が倒れている
なぜか頭から血を流し、手足が曲がってはいない方向を向いている

数m空けて、人々が取り囲んでいる
救急車が来て、その俺を運んでいった

静かだった
周りの人は、まるで俺が見えていないようだ
ありがちなラノベだと、不思議な能力でこの状態を乗り切るのだろう

ビルから転生社の男性が出てきた
私の払った5万円を財布にしまうところだった
彼は、俺の体があったところに手を合わせた

俺は、すっと上空に舞いあげられた
ホラー
公開:18/08/17 17:15

海山 道三

ペンネーム
海山 道三
みやま どうさん

「文章千本ノック」の一環で超ショートショートを投稿させていただきます

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