吾輩たちは猫である 01

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吾輩たちは猫である。
名前は其々にある。
昔から「犬は人につき、猫は家につく」などと云うが、猫族が家につくのは歴としたわけがある。

吾輩たち猫族も、犬君たち犬族も勉強熱心な生き物であった。
犬族は信頼する人間から学ぶのを好み、猫族は勝手気のままに学ぶのを好んだ。
勉強嫌いな人間が家族の場合、その犬君は馬鹿のままであるが、
自ら好き勝手に学ぶ我ら猫族は、一部の国や地域ではいつしか神と扱われる程に賢くなった。
焦ったのは神である。
猫族が神扱いされては立つ瀬がない。
神は猫が人より賢くならぬよう、外の世界を知らぬよう「家」という「場」に縛ってしまわれた。

こうして猫族の魂とも云える向上心は神によって消され、吾輩たちは「家」に縛られ「つく」ようになり、かつての勉強時間は眠る時間となった。

小説家という職業の人間との相性が良いのも、吾輩たち猫族の勉強に対する知的好奇心の名残りなのである。
その他
公開:18/08/16 22:42
更新:18/10/31 18:25
吾輩たちは猫である

椿あやか( 猫町。 )

【椿あやか】(旧PN:AYAKA) 
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◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
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【note】400字以上の作品や日常報告など
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