窓越しの彼女

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湖を越え、森の奥へ進むと彼女の家がある。
僕は毎日彼女の家へ向かう。窓の下にあるベンチが僕の特等席だ。
行く途中で拾った珍しい形の木の実やキレイな色をした花を見せると、彼女の丸い瞳はもっと丸くなる。その瞳はどんな景色よりも美しい。
風が強く吹く日はカタカタと窓を揺らすので、一緒に耳をすませる。
雨の日はずぶ濡れの僕を見て彼女は笑う。
できるなら、足を撫でる草花の感触や花の甘い香りも教えてあげたい。
でも彼女は「そんなことはどうだっていいの」と言いたそうな顔をして僕を見つめている。
今日は珍しい花を見つけたから、彼女に見せてあげよう。喜んでくれるだろうか。
ベンチにひょいとのぼると、窓越しに「ニャァ」と声がした。
その声は僕を優しい気持ちにする。
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公開:18/08/15 08:19

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