青い狂乱

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かつて、この地に君臨していた王は『青き狂王』と称されるほど、青を好んだ。
白を基調とした歴代の居城を、真っ青に塗り替えてしまうほどである。
忠実なる騎士たちの剣や鎧も、王の一声で真っ青になり、やがて、王の青色熱は国民たちを苦しめ始めた。
青色の塗料は例に漏れず高価だ。
にも関わらず、染料代を負わせる無責任さ。当然、皆苦しみ、自分達が食べる分の食料さえ換金し、染料代に変えた。
国は、国王の手によって崩壊寸前まで首を絞められた。
人々の不満は蓄積され、当然の如く反乱が起きた。
騎士たちさえも君主を見限り、王は捕らえられた。
青を愛し過ぎた王は、その後、斬首に処され、首と亡骸は火を吹く山へ投じられたという。
以来、国民たちは、この短くも苦しい時代の記憶を忘れんがため、青く染められた己が家を後世へ残すことにしたのだった。その記憶の伝承者たる民家の一つが、三本の木に挟まれたように見える、あの農家だ。
その他
公開:18/08/14 00:52
更新:18/08/14 08:11

加賀守 崇緒( 猫屋敷 )

気まぐれなハチワレ猫です。
頭抱えながら文章を考えてます。
スイカと芋と肉と魚に、お米とお酒、ブドウが好き。
よろしくお願いします。

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