かくれんぼ

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羽根の折れた妖精を追っていたら、淡青色の家へと辿り着いた。いつも歩く登下校の道なのに、僕はこの家を知らない。

家の扉には「叩くな」貼り紙が書かれている。読み方を知らない僕は迷いもせず、好奇心にかられ二回扉を叩いた。

突然、キリキリするような鳴き声が響いたかと思うと、家がばっと花火のように散り、妖精達が四方八方へと飛び立った。

「見つかちゃった。新しい家主見つけなきゃ」

最後の妖精が飛び立つ前に確かにそう聞こえた。羽音が遠ざかって行き、辺りは暗くなってきた。

ふと目の前を見ると、墓石があった。墓石の名前は母の名だった。七年前、森の中で行方知れずになった母の名前。

「妖精がこの場所をずっと護ってくれたのか?」

その考えはすぐに薄れた。森が母を攫ったのではなく、妖精が母を攫った。そう村の人達が言っていたのをはっきりと覚えている。

淡青色の家は、今もかくれんぼを楽しんでいる。
ミステリー・推理
公開:18/08/13 23:37
更新:18/08/15 08:59

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