「怨念」

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その男は愛人宅でシャワーを浴びていた。
「フフフーン、フンフフーン」
スッキリした表情の男は鼻唄まじりにご機嫌だ。
そんな男に突然の違和感が襲う。
「……ん?」
それは腕や体にビッシリまとわり付いていた。
「な、なんやこれ? か、髪の毛……やて?」
そう、シャワーヘッドから長い髪の毛が大量に流れ出てきていたのだ。男はそれを全身に浴びていた。
「ちゅーか、このニオイ……」
髪の毛から放たれる良い香り。男には心当たりがあった。
「アイツのやんけ!」
その香りとは、亡き妻が愛用していたシャンプーの香りだったのだ。
「そういや、今夜は結婚記念日やっけ?」
男は一瞬、物思いにふける。
「いやいや、もうあれから何年たっとる思てんねん。ホンマいつまでこの世に……」と、ふて腐れ気味に吐き捨てた。
「おんねん!」

この時、ズズ……ズズ……ズッと、髪の毛が首もとに迫っている事に、男はまだ気付いていなかった。
ホラー
公開:18/08/13 23:30
一行怪談リライト

壬生乃サル

2019年(8/8~)
・のんびり55本ノック!
6/55 (9月12日現在)
2019年(~8/8)
・500まで(180本)ノック!完走。
2018年(5/13~12/31)
・壬生の(320本)ノック!完走。

壬生乃サル (みぶ の さる)
https://twitter.com/saru_of_32

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