気分が上がるバンダナ
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「課長、遂に、出来ましたよ」 次郎くんは嬉しそうに、手に持ったものを見せた。楽器メーカー・ハマヤの企画開発室。デスクの課長が「それは?」と聞く。「“気分が上がるバンダナ”です。妹のいるバンドから、リクエストがありまして」「ほおぅ」「布の中に小さなトルマリンとマグネットを、特殊な配置で縫ってあります」 彼は続ける。「頭に巻いて歌を歌うと、アルファ波と、マイナスイオンを増幅して、気分が上がるんです」 そう言って彼は部屋の隅の小さな演奏ルームに入った。「最後のテストですヨ!」
...しばらくして、扉が開く。見ると彼の両目は赤く腫れ、大粒の涙がたまっている。「これ、失敗作っす」「どうした?」 心配そうな課長に、彼は答えた。「歌を歌ってたら、ノッてきちゃって。大好きな演歌を歌ってたら」 彼はこぶしで涙をぬぐった。「切なくなって、プラスイオンが出ちゃったようで。反応して、涙がもう、止まらないんっす」
...しばらくして、扉が開く。見ると彼の両目は赤く腫れ、大粒の涙がたまっている。「これ、失敗作っす」「どうした?」 心配そうな課長に、彼は答えた。「歌を歌ってたら、ノッてきちゃって。大好きな演歌を歌ってたら」 彼はこぶしで涙をぬぐった。「切なくなって、プラスイオンが出ちゃったようで。反応して、涙がもう、止まらないんっす」
ファンタジー
公開:18/08/14 23:55
更新:19/02/17 00:49
更新:19/02/17 00:49
ハマヤ
雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。
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