鼻奥の住人

目の前に二つの穴がある。左右どちらに入ろうか、と悩んでいるとスピーと左の穴から音がした。左は危険だと感じ右に入った。
黒い紐みたいなものがモジャモジャしていて、湿気っている。
何とか奥まで進むと黄色いネバネバした物体が詰まっていた。これより先に行く事を躊躇い戻ろうとした時……。
ハクション！　という轟音と衝撃。気付くとネバネバした物と共に外へ弾き出されていた。呆然としていると左の穴からスピーと音がした。さっきは危険と感じたが妙に気になり、中に入った。
右と同じく黒い紐みたいなものがモジャモジャしている。ただ湿気ってはいなかった。
奥まで行くと何やら塊がいた。
「ようこそ」
塊が喋った。
「誰？」
「僕は鼻奥の住人」
「鼻奥の、住人？」
「そう。僕たちは人間の鼻という器官の奥に棲んでいるブガーという生物なのさ」
「ブガー？」
「鼻くそ、だよ」
「え？」
「さぁ、君も今日から僕たちの仲間だ！」