深い空の底から

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 さあ出勤、ドアを開けるとすごく夏。
 息が苦しいのは呼吸するのには水の気配が濃すぎるせいだ。つまりこれはとっても泳ぐにいい日。今日の昼休みにすること決まり。いえいっ。

 昼休みになってすぐに私は窓を開ける。事務室はやたらと冷房がきいていて、涼しいのだけど私はあんまり好きじゃない。
「おでかけ?」
「うん、ちょっとそこまで」
 なんでだろうね?暑すぎるのはよくないから、冷房って必要なんだけど…どうも寒いし乾いてる感じがするんだよなー。
「じゃあ窓閉めとくけどカギそのままにしとくね。気を付けて」
「ありがとー」
 息を思いっきり吸い込んで、……ああ、水!
 天からの水気と夏を謳歌する緑のうたう水!
 内側からふちふちと鱗が湧き出てくる気配に、私は急いで窓枠を蹴って空へ向かって泳ぎだす。
 曇り空、空気はやや霧がかった湿度の薄暗く。

 ああ今日はほんとにいい日。
ファンタジー
公開:18/08/12 21:19

cross_winter

こちらとあちらをふらふらする辺境歩き、感受性お化けです。SAN値は直葬されています。
雪が好きです。夏は夜ではないと生きられません。にゃあ。

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