黄金ファクトリー

青い空と海、真っ赤なデイゴ、深緑の木々。そんな常夏の沖縄で育った修は台風マリアによって見知らぬ家にワープされてしまった。
家のドアを開けると信じられない光景が目前に広がっている。｢ここはどこだ。｣という疑問すらわかない。原色の世界から無数の色が組み合わさって神々しい色を醸し出している世界に飛び込んでしまった。
修の頭脳に刻み込まれた情報を悉く集めても目前の黄金の世界を理解する事ができない。自分が育ってきた30年の時ももう頭にはない。恐る恐る一枚一枚木の葉に触れお互いの距離を縮めた。すると手足が勝手に頭を支配し動き出した。沢山の木の葉達を家に運び備えられていたベルトコンベアに乗せたのだ。乗せられた木の葉達はザワザワ飛び跳ね次々に金貨に変わっていった。
心底自分達を美しいと認めた修に出会って木々の葉っぱ達は金の姿になり永久に命を得ることが出来た。