After that story, マッチ売りの少女

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その晩も飲んだくれたニコルは娘の帰りを待っていた。僅かばかりの売上金をあてにしているのだ。しかし娘は帰ってこない。
翌朝になっても娘の姿は見えない。いつもの商売場所に行ってみると幼い少女が雪の上で冷たくなっている。その表情は尊い。「リリアン」ニコルは声を張り上げた。「リリアン許してくれ。お前の母親に死なれ俺は自分を見失ってしまっていた。」ニコルは2年前に愛する妻に先立たれ生きる気力を失ったのだ。それを汲み取ったリリアンは健気にも一家の働き手になっていた。
妻を失い、娘まで帰らぬ人になってしまったニコルだったがリリアンの死に顔を見て確信した。「ママに会っているんだね。」
娘の死は父を変えた。ニコルは心に妻子を住まわせ常に彼らの声を聞いた。その内にマッチと異なり炎が灯り続けるライターを発明し富を得た。その富は貧しい子供達の養護施設を建てるのに大いに役立った。
その他
公開:18/08/12 08:55

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