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1日の終わりの境に住んでいる男は、たくさんの物語を見てきた。
海辺で並んで座るカップル
貝殻を拾う少女に
砂浜を駆け回る少年
家族と離れる漁師
陽を拝むおじいさん
皆それぞれ、自分の人生を生きていた。
男は10年前、海で入水自殺をした。日が落ちる前のこんな時間に。彼女が死んだのが余りに辛くて。
それからというもの、この1日の終わりの境から出ることはできなくなった。
ある日、いつものように海岸を見ていたら、気になる青年がいた。目が虚ろで海にどぶどぶ入っていった。ピンときた。
一瞬、そのまま溺れればいいと思った。1人でいるだけの10年は寂しすぎたから。
だけど、そうはしなかった。
男は精一杯、空を描いた。
もっと境目を。海と空の境は燃えるように赤く、上空は濃い紺青を。その間は白く、でも混沌とさせて。
青年は空を見上げてわあわあ泣いた。それ以上、海に入っていくことはなかった。
海辺で並んで座るカップル
貝殻を拾う少女に
砂浜を駆け回る少年
家族と離れる漁師
陽を拝むおじいさん
皆それぞれ、自分の人生を生きていた。
男は10年前、海で入水自殺をした。日が落ちる前のこんな時間に。彼女が死んだのが余りに辛くて。
それからというもの、この1日の終わりの境から出ることはできなくなった。
ある日、いつものように海岸を見ていたら、気になる青年がいた。目が虚ろで海にどぶどぶ入っていった。ピンときた。
一瞬、そのまま溺れればいいと思った。1人でいるだけの10年は寂しすぎたから。
だけど、そうはしなかった。
男は精一杯、空を描いた。
もっと境目を。海と空の境は燃えるように赤く、上空は濃い紺青を。その間は白く、でも混沌とさせて。
青年は空を見上げてわあわあ泣いた。それ以上、海に入っていくことはなかった。
ファンタジー
公開:18/08/12 08:11
更新:18/08/18 22:23
更新:18/08/18 22:23
この話での 1日の終わり = 水平線に日が落ちるとき
自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。
110.泡顔
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