病み鍋

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夏風邪で医者に行こうとしていたら先輩に見つかった。
「どうした、風邪か?」
「先輩ゲホッ。もうすっかり長引いちゃって」
「そりゃイイ。今から俺んちで病み鍋やるからお前も来い」
「病み鍋? 闇じゃなく病みって⋯⋯」
先輩はすたすたと歩いて行った。

集まった人達は、軽い病気の人や精神的に病んでいる人もいた。
ちゃぶ台には一椀の土鍋。
「顔を近づけてみな」
先輩に促され鍋に顔を近づける。
突然吐き気をもよおし、口からゴトッと黒い塊が排出された。
他の人達も次々に鍋に何かを吐き出して行った。
最後に出汁を入れ煮込んでゆくと、ぼんやりとした人型のようなものが現れた。
「鍋奉行様のおなーりー」
人型はぐつぐつ煮えた鍋を両手で掴み、それを一息に呑み込んだ。
そして満足そうにゲップを鳴らすと、すうっと消えた。

「どうだい、風邪は?」と先輩が笑顔で言う。
信じ難いことに、風邪はすっかりと治っていた──。
ファンタジー
公開:18/08/13 20:29
更新:18/10/05 18:04
塔京

渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

(獏・ω・) 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。
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