白球の向こうに

4
44

夏の高校野球、予選。
高校一年生ながらエースで四番の弟。高三の僕は控えの三番手投手。弟の活躍もあり僕たちの高校は初の決勝進出。
そんな決勝戦前日、弟が突然の病に倒れた。意識不明の重体。僕は「自分が投げて優勝すれば弟は助かる。そして一緒に甲子園へ!」と信じ、監督に決勝戦の先発を申し出た。

決勝戦。
僕はガムシャラに投げた。試合は白熱した点の取り合いのシーソーゲーム。
そして一点リードで迎えた九回裏。ツーアウト満塁、スリーボール、ツーストライク。僕はこれが最後だ! と渾身の一球を投げた。
響く快音。放物線はセンターの頭上を抜け──。

数年後。
僕は亡き弟が憧れていたメジャーのマウンドに立っていた。今日がデビュー戦の僕は、あの時のように渾身の力で第一球を投げた。
快音を残し白球が高々とセンター方向へ上がる。白球を見上げた僕は息を飲んだ。
白球の向こうに悪戯げな笑みを浮かべた弟の顔が、見えた。
その他
公開:18/08/12 23:10

壬生乃サル

2019年(8/8~)
・のんびり55本ノック!
11/55 (10月15日現在)
2019年(~8/8)
・500まで(180本)ノック!完走。
2018年(5/13~12/31)
・壬生の(320本)ノック!完走。

壬生乃サル (みぶ の さる)
https://twitter.com/saru_of_32

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容