クリムトは何故、空を隠さねばならなかったのか?

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 なぜ、クリムトは「空」を描かないのか?
 人工美を追求していた黒と黄金の時代ならまだしも、農家や花などの自然画に新境地を拓いたとされてからも、クリムトは頑なに、空を描かなかった。

 クリムトは目が弱かったのだ。夜空ですら、ゴッホの「星月夜」の幾千倍も激しい輝きを感じ、直視できなかったのだ。

 この「オーストリアの農家」は、クリムトがスモーキークォーツ製のサングラスをかけて挑んだ、唯一の屋外写生である。そこには、星月夜に照らされた極彩色の花畑が描かれている。

 どこに星空が描かれているかって?

 それならすぐに、この絵を色調反転して、見るがいい。印象派の成果である「補色の理論」によって周到に隠蔽された星月夜と、煌く花畑が浮かび上がることがわかるだろう。

 問題は、クリムトは何故、空を隠さねばならなかったのか? なのだ。

 それはこれから、ゆっくりとでっち上げるつもりである。
ミステリー・推理
公開:18/08/11 12:41

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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