ほたるび提灯

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夏祭りの出店の一画。
そこには様々な色や形の提灯が並んでいた。

その中の一つに、今にも消えてしまいそうなほど儚く、綺麗な提灯があった。
「ほたるび提灯と言うんですよ」

確かに、それは蛍の灯りのように見えた。
「本物の蛍が入ってるんですか?」
「いえいえ」

「お盆といえば、ご先祖様を祀る行事ですよね」
「そうですね」

「野菜のきゅうりとナスを動物に見立てて、ご先祖様の送り迎えをさせる、精霊馬というものもありますが……」

「この提灯は、蛍の灯りに姿を変えてやってくる方々を迎えるためのものなんです」

「なるほど、それでほたるび……」

「なので、この美しい灯りはお盆とその前後数日間しか見ることが出来ないんです」

この提灯の話を聞いたお客さんは、それぞれのご先祖様に想いを馳せるように、そっと手を合わせて行くのだそうだ。

その灯りはどこか温かく、優しいものだった。
その他
公開:18/08/11 00:28
更新:18/08/12 22:36
提灯

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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