カッター
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「全勝したって」
昼休み、教室に戻ってきたシュンがぼそっと言った。どうやら、前日に全校総出で応援したバスケ部がリーグ戦を全勝したらしい。
「やったじゃん! あれ?」
ダイキはシュンが涙しているのに気づいた。たしかにラストの逆転シュートは感動的だった。
「いやー、めっちゃ燃えたもんな」
ひどい。
そうつぶやき自席に戻ったシュンは、筆箱の中のカッターを掴んだ。
「なんだよ? お、おい、やめろーっ」
押し出された刃は躊躇なく、ダイキの左胸に刺さった。
5分前。
職員室を出て廊下を歩くシュンの顔は、下を向いていた。
担任教師に深刻な面持ちで呼び出され、動揺しないように、と言われたがそんなの無理に決まっていた。
原因はまだ不明らしい。それでも、残ったのはおそらく、教室にある教科書とノート、そしてからっぽの自分だけだろう。
誰かに、話を聞いてほしかった。
家が。僕の家が。
「全焼したって」
昼休み、教室に戻ってきたシュンがぼそっと言った。どうやら、前日に全校総出で応援したバスケ部がリーグ戦を全勝したらしい。
「やったじゃん! あれ?」
ダイキはシュンが涙しているのに気づいた。たしかにラストの逆転シュートは感動的だった。
「いやー、めっちゃ燃えたもんな」
ひどい。
そうつぶやき自席に戻ったシュンは、筆箱の中のカッターを掴んだ。
「なんだよ? お、おい、やめろーっ」
押し出された刃は躊躇なく、ダイキの左胸に刺さった。
5分前。
職員室を出て廊下を歩くシュンの顔は、下を向いていた。
担任教師に深刻な面持ちで呼び出され、動揺しないように、と言われたがそんなの無理に決まっていた。
原因はまだ不明らしい。それでも、残ったのはおそらく、教室にある教科書とノート、そしてからっぽの自分だけだろう。
誰かに、話を聞いてほしかった。
家が。僕の家が。
「全焼したって」
ミステリー・推理
公開:18/08/11 23:08
ショートショートをロングロング愛しています。女性の髪はショートかセミロングが好きです。
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