僕の働き方改革

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目を覚ますと、開いた窓の外から鳥のさえずりが耳に届く。鳥の名前は知らない。祖母に聞くたび、彼女は別の名前をいう。
階下へ降りると、焼きたてのパンと野菜のスープ、ハムと卵の朝食が用意されている。こちらは毎朝変わらない。
畑へ行き、働く。単調な日々。退屈な時間。
祖母はそれを、幸福とよぶ。
僕は決めた。街へ出ると。「大統領候補を決める試験」を受けるために!
祖母は、つまらないことをするね、と小さく息を吐き僕に手を振った。
「試験」は3つ用意されていた。「まずは君たちの適正を見極める。これからしばらく、この工場でとうもろこしを缶につめる作業をしてもらう。遅れず、乱れず、正確に行うこと。時期がきたら、合格者には次の試験へ進んでもらう」
目を覚まし、下の工場へ行き、とうもろこしを缶につめる。失敗は許されない。単純な仕事。緊張の連続。
僕はこれを、希望とよぶ。
その他
公開:18/08/10 05:31

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