カンニン袋

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「切れちゃったんだよな、カンニン袋の緒が」
「またかよ」
「何回目だよ」
学校の定期テストでのこと。
同じクラスのさとるくんは、またカンニン袋の緒が切れてしまったらしい。
「そんなことしてたら、今度は先生の堪忍袋の緒が切れちゃうぞ」
「今回のは違うんだよ……」
最近引っ越してきたばかりのたかしくんは、首を傾げて
「さとるくんのカンニン袋と先生の堪忍袋ってどう違うの?」
「ああ。」
「先生のは怒りが限界に達したときに切れるやつなんだけど……」
別の一人が続ける。
「さとるくんのはカンニングしたい気持ちが限界を迎えると切れるんだよ」
「だからカンニン袋?」
たかしくんが聞いたところで、さとるくんが口を挟む。
「だから今回のは違うんだよー……」
「違うって?」

「カンニングばっかじゃまずいから自分で考えたんだけど、分からなくて。勘に任せて解いちゃって」

「だから、勘任袋の緒が切れたんだ」
その他
公開:18/08/10 00:17
更新:18/08/12 22:35
堪忍袋

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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